午前9時、太宰府市観世音寺のK様邸に現場調査で伺いました。インターホン越しにご挨拶をすると、すぐに玄関先まで出てこられたK様が声をかけてくれます。
「塗装って、手で塗る方法と機械で吹き付ける方法があると聞いたんですけど、うちにはどっちが合うんでしょうか?」
「今日はそれを判断できるように、外壁や付帯部分、家の周りの状況を実際に見ながら説明しますね。」
道具を車から降ろしながら、調査の流れを説明します。まずは家の外周を一周して外壁や付帯部を確認し、そのあと周囲の環境や作業スペースをチェックします。K様にも「気になる部分があればその場で教えてください」とお伝えします。
「では、南側から見ていきますね。日がよく当たる面なので、色あせや劣化が出やすいです。」
道路側の塀沿いに立ち、まずは全体の見た目を確認。遠目にはまだきれいですが、外壁に近づき指で軽くこすると白い粉が指先に付着しました。
「この粉はチョーキングといって、防水性が落ちているサインです。」
「見た目じゃわからないもんですね…」
サッシの周囲や水切りも確認し、細部の劣化や汚れを写真に収めます。近くの植栽や玄関アプローチも目に入り、養生のしやすさや作業動線を頭の中で描きながらメモを取っていきました。
ベランダ下や影になる面で見えた細かな傷み
南面の調査を終え、東側へ移動します。ベランダ下の壁は日が当たりにくく、湿気がこもりやすい場所です。目を凝らすと細かなひびがいくつも走っており、場所によっては塗膜が少し浮いています。指で触れると段差がはっきり感じられます。
「ここは乾燥しにくいので、こういうひびが入りやすいんです。手塗りだとローラーで塗料を押し込めるので、こういった細かいひびにも入り込みやすいですよ。」
「吹き付けだと埋まらないんですか?」
「吹き付けは霧状の塗料なので、表面は覆えても奥まで入りづらいんです。模様付けやスピードが必要な時は向いていますが、補修を兼ねる場合は手塗りのほうが有利ですね。」
ベランダの下をくぐり、軒天や樋の裏も点検します。軒天には薄い汚れと小さなシミ、樋の裏側には塗膜の浮きが見られました。私は「ここは塗装前にケレンで整えてから塗ると、仕上がりが長持ちします」と説明しながら写真を撮ります。
「やっぱり近くで見ると、色々と傷んでるんですね。」
「そうなんです。普段は見えにくい場所なので、この機会にしっかり点検します。」
こうして東面の調査を終え、次は北側へ回ります。
北側で見つかった湿気と汚れの影響
北側の壁は、南面や東面とは違い全体が暗い色合いに見えます。近づくと、外壁の下部には緑色の苔が広がり、窓の下や雨樋付近には黒い雨筋がくっきりと残っています。足元のコンクリート部分にも苔がびっしりと付着しており、湿気の多さが一目でわかります。
「こちらは日が当たらず、風通しも悪いので湿気がたまりやすいんです。そのため苔やカビが発生して、塗膜も傷みやすくなります。」
「確かに、この面は冬でもなかなか乾かないです。」
樋の裏や窓枠の下には、塗膜が剥がれかけている部分があり、指で押すとパリッと音がします。
「こういう部分は剥がれる前に削ってから塗る必要があります。手塗りなら、こうした場所を一つずつ確認しながら作業できます。」
さらに北側は隣家との距離が狭く、吹き付けを行う場合は塗料飛散防止のため二重に養生する必要があると説明。お客様も「この距離だと確かに心配ですね」と納得されていました。
隣家や車への配慮も工法選びの大切な要素
最後に西側を確認します。すぐ隣の駐車場にはピカピカの新車が停まっており、境界までの距離は1メートルほど。道路沿いでもあるため、人や車の通行も多い状況です。
「吹き付けもできますが、この距離だと塗料が風で飛んでしまう可能性が高いです。お隣の車や窓を守るために二重の養生が必要になり、作業の準備にも時間と費用がかかります。」
「そうなると、やっぱり手塗りのほうが安全ですね。」
道路沿いの壁も確認しながら、通行人や車への影響を想定して説明します。吹き付けを行うなら通行制限や安全員の配置が必要になること、手塗りなら飛散がほとんどなく、必要な養生範囲も最小限で済むことを伝えます。
調査を終えたK様は「工法の違いがよくわかりました」と少し安心された表情を見せられました。私は撮影した写真と記録を持ち帰り、後日の見積書と一緒にご提案することをお約束しました。
外壁塗装は、お住まいの立地条件や外壁の劣化状況によって、最適な工法や工程が変わります。今回のように現場調査で実際の状態を確認し、手塗りと吹き付けのメリット・デメリットをきちんと比較することで、仕上がりや耐久性に大きな差が出ます。
太宰府市をはじめ、筑紫野市・大野城市・小郡市・福岡市東区・福岡市早良区にお住まいの方で、「うちはどちらの工法が向いているのか知りたい」「まずは家の状態を見てもらいたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
経験豊富なスタッフが現地へお伺いし、丁寧に調査・ご説明いたします。
現場での分かりやすい解説と写真付きの診断結果をお渡ししますので、塗装工事を検討する際の参考資料としてもご活用いただけます。