先日、太宰府市青山にお住まいのお客様から「外壁の隙間からアリが出入りしている」とのご相談を受け、朝一番でお伺いしました。
玄関を開けて出迎えてくださったお客様は、少し焦った様子でこうお話しされました。
「このあたり、見えますか?黒いアリが毎日ここから出入りしてるんです。外壁のヒビから入って、家の中にも…」
「確かに、細い隙間がありますね。今日はこの隙間の原因と、アリが入り込んでしまう理由を一緒に確認しましょう。」
膝をついて隙間を覗き込むと、幅1〜2ミリほどの割れが縦に走っていて、その中から小さなアリが数匹、列を作って出入りしていました。
隙間の状態とアリの通り道
「これはモルタル外壁のクラックですね。おそらく経年劣化で入ったヒビです。アリはこういう隙間を通って、壁の中や基礎の下に巣を作ることがあります。」
「壁の中にも巣ができるんですか?」
「はい、湿気や木材があるとアリにとって快適な環境になります。特に雨水が隙間から入り込むと、中の木部が湿って、シロアリやカビの原因にもなります。」
壁を軽く叩くと、少し空洞音がしました。私はこの部分が内部で剥離している可能性を説明しました。「隙間から雨水が入って内部が傷んでいるかもしれません。今日は外からの応急処置と、後日しっかりした補修のご提案をします。」
「アリも雨も両方防げるようにしてほしいです。」
家まわりの追加点検
そのまま建物の周囲を一周し、他にも同じような隙間がないかを確認しました。
北側の基礎付近では、わずかなクラックの周囲に土が盛り上がったような跡がありました。「これはアリが土を運び出した跡です。壁の隙間だけでなく、基礎まわりからも侵入していますね。」
「こんなにあちこちから入ってくるんですね…。」
「アリは1〜2ミリの隙間でも入れますから、建物全体の点検と処置が大事です。」
応急処置と今後の計画
その日のうちに、アリの通り道になっている大きめのクラックには、仮の防水シーリングを充填しました。「今日は応急的に塞いでおきます。これで一時的にアリの出入りは止まりますが、内部の補修まではできないので、早めに本格工事をしましょう。」
「やっぱり中まで直さないと意味がないですよね。」
「そうです。内部が傷んだままだと、また隙間が開いたり、雨水が入り込んでしまいます。次回は外壁全体の洗浄と下地補修をして、その上で塗装を行えば、アリも雨も防げます。」
お客様は「なるほど、単に塞ぐだけじゃダメなんですね」と納得されたご様子で、「じゃあ正式な見積もりをお願いします」とおっしゃいました。
職人が解説!外壁の隙間とアリ対策のポイント
外壁の隙間は、見た目の問題だけでなく、虫や雨水の侵入経路となる重大なリスクです。特にアリは、わずか1ミリの隙間でも通り抜けられるため、発見した時点で早急に対処する必要があります。
経年劣化で生じるモルタルやサイディングのクラックは、表面だけでなく内部にも達している場合があり、そこから雨水が浸入すると木部や断熱材が湿気を含みます。この環境はアリやシロアリ、さらにはカビや腐朽菌にとって好都合です。
補修の際には、まず隙間周辺の劣化部分を削り落とし、下地の状態を確認します。内部に腐食や剥離がある場合は、補強や張り替えが必要です。その上で、防水性の高いシーリング材を充填し、最終的には塗装で仕上げることで、外観と機能の両方を守ることができます。
応急処置としての隙間塞ぎは有効ですが、それだけでは再発の可能性が高いです。必ず内部の状態確認と根本的な補修を行うことが、長期的な安心につながります。