先日、福岡市東区香椎浜で、築15年の戸建て住宅にお住まいのM様から「外壁が汚れてきた気がする」とご相談をいただき、調査に伺いました。
玄関先でご挨拶を済ませると、すぐに「ちょっと北側の壁を見てもらえますか?」と案内され、建物の裏手へ。通路が狭く日がほとんど当たらない場所で、外壁には黒ずみと緑がかった藻が点々と広がっていました。
「去年の梅雨明けくらいから、急に汚れが目立ち始めた気がして…。水で流してみても、全然落ちなくて」
「北側はどうしても湿気がこもりやすいですからね。このあたりは特にコケや藻が発生しやすいです。素材にもよりますが、凹凸のある壁だと、奥まで入り込んでいることもあるんですよ」
実際、外壁を指でなぞると、ぬるっとした感触があり、細かい粉のようなものが指先に残りました。明らかに汚れが定着している状態です。
「それと、ここを見てください。コーキングの端に細かいヒビが出てきてます。軽度ですが、これも今のうちにチェックしておくべきポイントです」
「えっ、そうなんですか?まったく気づきませんでした」
「洗浄が目的でも、こういう部分は見逃せないですね。必要があれば部分補修も提案できますし、状態に応じて判断しましょう」
表面の汚れだけでなく、外壁全体の健康状態を知るきっかけになるのがこの現場調査です。お客様が見落としていた変化にも、しっかり目を配ります。
洗浄だけの予定でも、足場が必要になることもある
外壁の状態をさらに確認しながら、建物の周囲を一周。2階のベランダ下や窓下にも、黒ずみの雨だれがくっきり残っていました。
「こういう高い位置にも汚れがあるので、しっかり洗浄するには足場が必要になると思います」
「洗浄だけでも足場って組むんですね。塗装じゃなくても?」
「はい、脚立で無理にやると届かない場所もありますし、洗いムラも出てしまいます。安全面でも作業品質でも、足場を組んだ方が確実ですね」
2階建ての住宅では、高圧洗浄の範囲がどうしても広くなります。地面から見える部分だけを洗っても、全体の印象は改善されません。
「費用的には、どれくらいを見ておけばいいですか?」
「洗浄だけでしたら3万〜6万円くらいが相場ですね。今回は藻の量が多いので、バイオ洗浄も検討すると最大で8万円程度。それに足場が必要な場合は、5〜10万円前後が追加になるかと思います」
金額の話になると、お客様は少し表情を引き締めておられました。やはり、費用がどれほどかかるのかは大きな関心事です。
「いずれ塗装も考えているので、まとめてやった方が効率は良さそうですね」
「まさにそれが一番良いタイミングかもしれませんね。以前、小郡市で対応したお客様も同じようなケースで、洗浄と塗装をセットで行うことで、足場代を一回分に抑えられました」
一度の施工で済ませることでコストが最小限に抑えられるだけでなく、作業効率や仕上がりの一体感も変わってきます。
高圧洗浄とバイオ洗浄、どちらを選ぶべきか
「汚れが深そうですけど、高圧洗浄で全部きれいになりますか?」
「かなり落ちますが、表面だけじゃなくて、根を張った汚れにはバイオ洗浄が安心です」
私たちは実際の汚れの質を見て、どちらの洗浄方法が適しているかを判断します。今回のように藻やカビがしっかりと付着している場合は、薬剤による分解洗浄の方が効果的です。
「高圧洗浄って、水圧で外壁を傷めることはないんですか?」
「塗膜が劣化している場合に強く当てすぎると、剥がれてしまうこともあります。だからこそ、水圧の調整や当て方の技術が必要なんです」
「見た目以上に中まで汚れてるんですね」
「そうなんですよ。表面がきれいになっても、中に汚れが残っていると、すぐに再発することがあります」
私たちが大切にしているのは、見た目をきれいにするだけでなく、再発リスクまで考慮した提案をすること。洗浄方法ひとつにも、建物の状態を読み取る職人の目が必要なんです。