太宰府市梅香苑にお住まいのM様から、「外壁の黒ずみが取れない」とのご相談をいただきました。
朝一番に伺うと、M様が北側の壁を見上げながら話されました。
「この壁、雨のあとに黒い筋が出てくるんです。高圧洗浄機で洗っても全然落ちなくて。」
「これは排気ガスとカビが混ざった汚れですね。北側は湿気が残りやすく、特に梅雨明けから目立ち始めることが多いんです。」
北側の外壁は、どの家でも汚れやすい場所です。日が当たりにくい分、湿気がこもりやすいんですよね。
「強くこすれば取れると思って、ブラシでゴシゴシやってみたんですけど、それも良くないんですよね?」
「そうですね。力を入れすぎると塗膜を削ってしまいます。中性洗剤を薄めて、柔らかいブラシで優しく洗うのが一番です。」
「なるほど、外壁って繊細なんですね。」
「ええ。“優しく根気よく”が長持ちのコツです。焦らず何回かに分けて洗ってみてください。」
外壁は、力よりも扱い方で仕上がりが変わります。丁寧に手をかけるほど、家は長く持ちます。
雨だれや苔の汚れは早めの対処を
南側の壁にまわると、窓の下に黒い筋がいくつも伸びていました。
「この筋、いつの間にか出てくるんですよ。雨の跡みたいで。」
「それは雨だれ汚れですね。雨水にホコリや排気ガスが混ざって、乾くと跡が残るんです。」
「掃除してもまた出てきます。」
「塗膜の撥水力が落ちているサインですね。早めに掃除してあげると跡になりにくいですよ。」
雨だれは放置すると、固まって黒い筋が残ってしまいます。気づいた時点で水をかけるだけでも違います。
家の基礎のあたりには、緑色の苔がうっすら広がっていました。
「この苔、洗っても大丈夫ですか?」
「はい。出始めなら問題ありません。湿気が原因なので、根を張る前に落としておくと楽です。」
「裏が林で湿気が多いから、仕方ないですね。」
「そうですね。でも軽いうちならすぐ取れます。放っておくと塗膜の奥に入り込むので、早めが肝心です。」
苔は小さな汚れに見えて、外壁を痛める原因にもなります。こまめな掃除で防げるので、気づいたときに落とすのが一番です。
掃除で見つかる外壁の劣化サイン
外壁の状態を見ていると、M様が指先を見せながら話されました。
「壁を触ると白い粉がつくんですよ。これも汚れですか?」
「それはチョーキングという現象です。塗膜が紫外線で劣化しているサインですね。」
「掃除してもすぐ出てくる感じです。」
「そうですね。粉が出ると防水力が落ちてきています。掃除しても繰り返すようなら、塗り替えの時期です。」
「なるほど、掃除で気づけるんですね。」
「はい。こうして触って確認するだけでも、外壁の状態がよく分かります。」
白い粉は外壁からの“SOS”。
掃除の時間は、家と向き合う大事な点検の時間でもあります。
外壁を長く守るための基本
外壁の掃除は、見た目を整えるだけではありません。塗膜の保護性能を維持し、外壁材を長く守る大切なメンテナンスです。
“汚れを落とす”というより、“外壁の調子を整える”という気持ちで行うと、家がいつまでも元気でいてくれます。
中性洗剤を薄めて使い、柔らかいナイロンブラシで優しく洗う。
これだけでも塗膜の寿命はしっかり変わります。強い洗剤や金属ブラシを使うと、塗膜が傷つき、かえって汚れが付きやすくなります。
年に1〜2回、春や秋の晴れた日に軽く水を流すだけでも十分効果があります。
水洗いのついでに、手で壁を触って粉が出ないか、ひび割れがないかを確認してみてください。
掃除と点検を一緒に行うことで、外壁の寿命をぐっと延ばすことができます。
太宰府市や筑紫野市、小郡市などは湿気が多く、北側や日陰の汚れが出やすい地域です。
そうした環境でも、こまめに手をかけることで、外壁は長くきれいな状態を保てます。
外壁の黒ずみや苔が気になってきたら、まずは無理せず軽い掃除から始めてみてください。
その一手間が、お家を守る大きな力になります。