太宰府市通古賀で外壁塗装の相談をしてくださったT様。
玄関前で開口一番、真剣な表情でこうおっしゃいました。
「最近ニュースで隣家のもらい火を見て、心配になったんです。うちも古いモルタル壁なんですけど大丈夫でしょうか?」
「モルタルは燃えないんですよ。ただ、年数が経つと小さなひびができて、そこから熱が入りやすくなるんです。」
「えっ、そんなことで?」
「はい、実は火はこういう小さな隙間が大好物なんです。」
T様は壁の表面を指でなぞりながら、じっとひびを見ておられました。
ちょっとした線でも、火災時には炎の通り道になる――職人の目にはそれがはっきり見えます。
「普段は気にしてなかったけど、これって結構危ないんですね。」
「そうなんです。だから塗装って“見た目”より“守るため”にするんですよ。」
冗談めかして言うと、T様が少し笑ってくれて空気がやわらぎました。
壁の中で起こる“煙突効果”とは?
家の北側に回ると、以前リフォームした部分の外壁が少し浮いていました。
触るとわずかに空気が入る感じがあり、「これは説明のいい材料だな」と思いながらお話ししました。
「この隙間、ちょっと気になりますね。火が入ると、ここから上に一気に燃え上がるんです。」
「上に?外壁の中を火が上がるんですか?」
「そうなんです。空気が通ると、煙突みたいに火が吸い上げられる“煙突効果”って現象が起きます。」
「外が燃えてなくても、中でそんなことが…。」
「そう。だから耐火構造では、この空気の通り道をきっちり塞ぐのが大事なんです。」
T様は驚いたように手を止め、じっと壁を見つめていました。
壁の中は見えないからこそ、施工の正確さが命を分ける――そんな話をしていると自然と声が落ち着きます。
「火って、外よりも中から回るんですよ。見えない部分の方が怖いんです。」
「なるほど…中身が肝心ってことですね。」
「そういうことです。外壁って、見た目以上に奥が深いんですよ。」
素材の違いで変わる耐火性能
一通り外周を確認したあと、T様が気になっていたのが金属サイディング。
「最近、金属の外壁が多いですよね。あれって火に強いんですか?」
「表面の金属自体は燃えません。でも、裏に断熱材が入ってるタイプは注意です。発泡素材だと熱で溶けます。」
「そうなんですね。見た目は強そうなのに。」
「そう、見た目で分からないんです。中身がどう作られてるかで火への強さは全然違います。」
T様は少し驚いた様子で、「知らないことばっかりだなぁ」と苦笑いされました。
こういう反応をいただくと、やっぱり説明のしがいがあります。
「選ぶときは“準耐火構造認定”のある材料を見てください。ちゃんと試験に通った材料です。」
「そんな基準があるんですね。聞いたことなかったです。」
「カタログだと小さい字で載ってるんですけど、そこが一番大事なところなんですよ。」
「なるほど…今度から気をつけて見てみます。」
外壁ってデザインで選ばれがちですが、実は“性能”の差が一番はっきり出る部分。
T様の「知らなかった」の一言に、説明してよかったなと感じました。
火に強い家づくりは、部分的な工夫からでもできる
点検が一段落したころ、T様が少し考え込むようにおっしゃいました。
「全部を耐火仕様にするのは大変そうですけど、一部だけでも効果あるんですか?」
「もちろんあります。たとえばキッチン側とか、隣家との境の外壁だけ耐火パネルにするケースも多いですよ。」
「なるほど、それなら現実的ですね。」
「はい。火は特定の方向に広がるので、燃えやすい側を抑えるだけでも被害を減らせます。」
「費用も抑えられて安心も増えるなら、それが一番ですね。」
「そうなんです。最近はデザイン性も高い耐火材が多いので、見た目もきれいに仕上がりますよ。」
「おしゃれで安全なら言うことなしですね。」
「ほんと、昔よりずっと選択肢が広がりました。」
T様が少し笑顔を見せた瞬間、こちらもつられて明るい気持ちになります。
火の話ってどうしても緊張するけど、最後は安心してもらえるのが一番うれしいです。
外壁の耐火構造は“見えない安心”をつくるもの
外壁の耐火構造は、素材や塗料よりも“中身の組み立て”で決まります。
防火ボードや通気層の処理がきちんとしていれば、火は簡単には広がりません。
太宰府市や筑紫野市のように家が密集している地域では、こうした構造の違いが延焼を防ぐカギになります。
「うちは大丈夫かな」と感じた時点で点検するのが、いちばん確実な予防です。
火に強い外壁は、見た目には分からない“見えない安心”。
太宰府市・筑紫野市周辺で外壁の劣化やひびが気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
家を守る仕組みを、職人の目線でしっかりお伝えします。