
先日、大野城市筒井にお住まいのF様からご連絡をいただきました。
「屋根を塗り替えたばかりなのに、天井にシミができてるんです。これって塗装のせいですか?」
「いつ頃、塗装されたんですか?」
「半年前くらいですね。防水性が高い塗料って説明を受けたんですけど…」
「“防水”って言葉、実は少し誤解されやすいんですよ。スレート屋根の場合、塗りすぎると逆に雨漏りの原因になることがあるんです。」
お客様が驚くのも無理はありません。
“しっかり塗る=いい工事”と思っている方は本当に多いです。けれど、屋根には屋根なりの“呼吸の仕方”があるんです。
「え、塗りすぎが原因になることなんてあるんですか?」
「あります。スレート屋根は雨を完全に弾く構造じゃなくて、入った雨をうまく逃がす構造なんですよ。」
この説明をすると、ほとんどのお客様が「えっ、そうなんですか?」と返されます。
でもそれこそが、スレート屋根の最大の特徴なんです。
スレート屋根は“雨を防ぐ”より“流す”構造
現地調査をすると、F様邸の屋根はとても丁寧に塗られていました。
ただ、屋根材の重なり部分に隙間が一切ありませんでした。
「F様、この状態だと水が中に入ったときに逃げられないんです。」
「隙間がない方がいいと思ってました。」
「そう感じる方、多いんですよ。でもスレートは、雨を“防ぐ”んじゃなくて“流す”屋根なんです。」
スレート屋根の構造は一見シンプルに見えますが、実は“水の通り道”が計算されているんです。
その道を塗料でふさいでしまうと、雨水が排出されず、内部に溜まってしまいます。
「昔の瓦は重ねて水を防ぐ構造でした。でもスレートは軽いぶん、抜け道を確保してあげないとダメなんです。」
「なるほど、だから雨漏りしちゃったんですね。」
「そうなんです。しっかり塗ったことが、逆に屋根の働きを止めてしまったんです。」
この話をすると、たいていのお客様が「うちもそうなってないかな」と心配されます。
でも、それくらい知られていないんですよね。構造の話って。
“縁切り”が屋根を守る見えない工程
「スレート屋根では“縁切り”という作業があるんです。塗ったあとに、わざと隙間をつくってあげるんですよ。」
「へぇ…そんな作業があるんですね。」
「昔は塗装が終わったあとに職人がカッターで1枚ずつ切ってました。炎天下の屋根の上で、しゃがんでずっと作業するんです。」
「それは大変そうですね。」
「そうなんです。時間もかかるし、せっかく塗った塗膜を傷つけることもあるんですよ。」
今では考えられませんが、以前はそれが普通でした。
「塗って終わり」ではなく、「塗って切る」までが仕事。昔の職人さんは本当に根気がありました。
「今は“タスペーサー”という部材を使うのが主流になっています。」
「タスペーサー?初めて聞きました。」
「屋根材の隙間を確保するための小さなパーツです。これを使えば、塗装後に屋根に乗る必要もないんです。」
現場でも、このタスペーサーを知らないお客様は多いです。
ですが、これが“縁切り”を正しく行うためのカギなんです。
タスペーサーで屋根に“呼吸”を戻す
現場で実物を見せながら説明しました。
「これがタスペーサーです。下塗りが終わったあとに、屋根の重なり部分に挟むんです。」
「こんな小さい部品がそんなに大事なんですか?」
「そうなんです。これがあるだけで、塗膜が隙間をふさがないようになるんですよ。」
多くの方が意外に思うんですが、屋根を守るのに必要なのは“新しい塗料”よりも“正しい手順”なんです。
この工程を省くか守るかで、屋根の寿命は大きく変わります。
「確かに、塗装後にまた屋根に乗るより安全ですね。」
「そうなんです。作業効率も上がるし、仕上がりもきれいになります。」
こういう話をしていると、お客様だけでなく自分自身も初心に返るような気持ちになります。
どんなに時代が変わっても、“家を守る基本”は変わらないんですよね。
スレート屋根塗装で後悔しないために
調査の最後に、F様が以前の見積書を見せてくださいました。
「これ、前の業者さんの見積もりなんですけど、“縁切り”とか“タスペーサー”って書いてないですね。」
「そうですね…。その場合、たぶん工程には含まれてなかったと思います。」
「なるほど…。見積もりに書いてなければ、やってない可能性が高いんですね。」
「はい。価格を抑えるために省かれることも多いんです。けれど、ここを省くと数年後に必ず不具合が出てきます。」
“安くても早くても、意味がなければダメ”。
お客様とのこうした会話を重ねるたび、私はその言葉の重みを実感します。
「もし次に塗装を検討されるときは、見積もりに“縁切り”の記載があるか必ず確認してください。それが安心のサインになります。」
「わかりました。今まで気にしたことなかったですけど、すごく大事なんですね。」
お客様が納得してくれると、こちらも自然と背筋が伸びる気がします。
技術も説明も、どちらも誠実であることが信頼につながる。そう感じた一日でした。
大野城市・近隣地域でスレート屋根の塗装をお考えの方へ
スレート屋根塗装は、見た目よりも“工程”が命です。
縁切りを省略すれば、一見きれいでも内部は確実に劣化していきます。
ハウジングコートでは、大野城市をはじめ太宰府市・筑紫野市・小郡市・福岡市・糟屋郡・筑前町など、
地域に密着した正しい施工にこだわった屋根塗装を行っています。
「うちもそろそろ塗り替えどきかな」「他社の見積もりに縁切りって書いてないけど大丈夫かな」
そんなお悩みをお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
見た目だけでなく、10年後も安心できる“正しい塗装”をお約束いたします。











