
先日、春日市白水ヶ丘にお住まいのA様より、「塗料にはいろいろな機能があるみたいですが、うちの場合は何を重視すればいいんでしょうか」というご相談をいただきました。
機能の名前だけを見ても、自宅に必要なものまでは分かりにくいですよね。普段から気になっている場所を実際に確認すると、塗料を選ぶ手がかりが見えてきます。
「一番見てほしかったのは、こっちの壁なんです。去年、家族で届くところまで洗ったんですけど、また緑っぽくなってきて。」
「ああ、ここですね。下だけじゃなくて、上の方にも少し出ていますね。この辺は日がほとんど当たらないですか。」
「冬は特に当たらないですね。隣との間も狭いので、雨のあともずっと湿っている感じがするんです。せっかく塗るなら、またすぐ同じ見た目になるのは避けたくて。」
「それなら、防カビ・防藻性は見ておきたいですね。今付いているものを洗浄できちんと落としてから、藻が付きにくい塗料を使う形です。」
防カビ・防藻性は、カビや藻の発生を抑えるための機能です。日当たりや風通しそのものは変わらないため、完全に発生しなくなるわけではありません。
「絶対に出ないところまでは期待していないんです。ただ、塗り替えて何年もしないうちに元へ戻ったら、やっぱり残念ですよね。」
「それは嫌ですよね。この家の場合は、北側の環境まで考えて塗料を選んだ方がいいと思います。」
「あと、窓の下に黒い筋が出るのも気になっていて。これも同じ汚れですか。」
「こっちは雨だれですね。緑っぽい藻とは別の汚れです。窓の端から雨水が流れて、その跡に汚れが残っています。」
外壁に付く汚れは、見た目が似ていても原因が違うことがあります。藻と雨だれでは、塗料に求める機能も変わります。
「全部まとめて『汚れに強い塗料』を選べばいいと思っていました。場所によって違うんですね。」
「そうですね。ただ、塗料を面ごとに変えるというより、北側の藻にも窓下の雨だれにも配慮できる商品を探す感じになります。」
南側の色あせから耐候性を考える
「南側は汚れないんですけど、こっちは色がかなり薄くなった気がするんです。昔の写真を見ると、もっと濃かったんですよ。」
「こちらは日差しの影響が強く出ていますね。北側とは逆で、汚れより色あせの方が進んでいます。」
「同じ家なのに、片方は藻で、片方は色あせなんですね。家族とも『どっちに合わせて塗料を選ぶんだろう』と話していたんです。」
「両方を見ますよ。北側には防藻性、南側には紫外線に強い耐候性が欲しいので、どちらか一方だけで決める必要はありません。」
耐候性は、紫外線や雨風を受けても塗膜の状態を保ちやすいかを見る性能です。カタログでは、試験結果に応じて耐候形1種、2種、3種と表示されることがあります。
「見積もりに耐候形1種と書いてあったんですが、何のことか分からなくて。数字が大きい方が上だと思っていました。」
「分かりにくいですよね。試験上は1種が高い区分です。ただ、その表示だけで実際の持ち方が全部決まるわけではないんです。」
「塗料の性能が良くても、この壁の状態が悪かったら意味が薄いということですか。」
「その通りです。この辺は触ると少し粉が付きますよね。今の塗膜が弱っているので、洗浄や下塗りをきちんと合わせないと、上に良い塗料を塗っても性能を出しにくいんです。」
高い機能を持つ塗料でも、傷んだ塗膜の処理や下塗りが合っていなければ、本来の性能を生かしにくくなります。塗料選びと下地処理は、分けて考えられない部分です。
「カタログばかり見ていたので、塗料そのものが全部解決してくれると思っていました。」
「そう思いますよね。でも、今の外壁を整えることと、その上に何を塗るかはセットなんです。」
「家族とは、ただ安いものを選ぶのはやめようと話しています。でも、使わない機能にまで費用をかけるのも違う気がして。」
「その考え方でいいと思います。A様のお住まいなら、藻、雨だれ、色あせ。この三つを軸に絞れば、必要な機能も見えやすいですよ。」
軒天の湿気と仕上がりの希望を合わせる
「軒天の黒っぽさも前から気になっていたんです。外壁をきれいにしても、ここだけ残ったら目立ちますよね。」
「ここは外壁とは少し考え方が違います。軒天は湿気がこもりやすいので、湿気を逃がしやすい透湿性のある塗料を使った方が合います。」
「家全体を同じ塗料で塗るものだと思っていました。」
「色は合わせられますよ。ただ、外壁と軒天では置かれている環境が違うので、塗料は使い分けた方がいいんです。軒天まで外壁と同じように固い塗膜で覆うと、湿気が抜けにくくなることがあります。」
透湿性は、塗膜の内側にこもった湿気を外へ逃がしやすくする性能です。軒天のように湿気がたまりやすい部位では、耐久性だけでなく湿気の抜けやすさも確認します。
「なるほど。外壁の機能だけ選んで終わりではないんですね。せっかくなら、細かいところまで含めて長くきれいにしたいです。」
「仕上がりの色は、今の雰囲気を残したいですか。それとも少し変えてみたいですか。」
「今の落ち着いた感じは好きなんです。ただ、色あせのせいか家全体が暗く見えるようになってきて。今の色から離れすぎない程度に、少し明るくしたいですね。」
「それなら、同じ系統で一段明るい色を見てみましょう。艶はどうですか。」
「艶が強すぎるのは避けたいです。新しくした感じは欲しいんですけど、ピカピカしすぎると家の雰囲気に合わない気がして。」
色や艶、質感は、塗料の意匠性に関わります。機能が合っていても、毎日見る外観に違和感が残ると、満足しにくくなります。
「では、耐候性や低汚染性を確認しながら、落ち着いた艶で候補を出しますね。」
「北側の汚れだけを気にしていましたけど、見てもらうと南側や軒天も別の傷み方をしているんですね。家族にも、塗料を選ぶ理由をきちんと説明できそうです。」
「見積もりでは、商品名だけではなく、どの症状を見て候補に入れたのかも分かるようにします。」
塗料の機能は住まいの症状と希望から選ぶ
塗料には、耐候性、防カビ・防藻性、低汚染性、透湿性、意匠性など、さまざまな性能があります。機能の数が多い塗料を選ぶのではなく、自宅のどこにどのような症状が出ているのかを確かめることが選定の入口になります。
日当たりが悪く湿気の残りやすい面では防カビ・防藻性、窓下の雨だれが目立つ場合は低汚染性が候補になります。紫外線を強く受けて色あせている面では耐候性、湿気がこもりやすい軒天では透湿性が必要になります。
塗料の機能だけで、日当たりや雨水の流れ方まで変えることはできません。洗浄や補修、外壁の状態に合った下塗りを行ったうえで必要な機能を持つ塗料を使うことで、その性能を生かしやすくなります。
色や艶、質感も、塗り替え後の満足度を左右します。今の住まいで気に入っている部分と改善したい部分をご家族で話しておくと、機能と見た目の両方から比較しやすくなります。
春日市白水ヶ丘をはじめ、太宰府市、筑紫野市、大野城市、小郡市で塗料選びに迷っている方は、機能名から選ぶ前に、普段どの場所の何が気になっているのかを確認してみてください。











